サブディビジョンモデリングとは、Subdivision Surface(再分割曲面)モディファイアを利用したモデリングのことである。以降「Subdivision Surface」を「Subsurf」と略す。
工程
- ポリゴンモデリング
- ウェイトペイント
- シェイプキーの作成(左右対称)
- ミラーモディファイアの適用
- シェイプキーの作成(左右非対称)
- UV 展開
- テクスチャペイント
- エクスポート
ポリゴンモデリング
▽ とにかくモデリングする
Subsurf モディファイアを利用して、とにかくモデリングする。Curve やメッシュを生成するアドオンを使わない。ウェイトペイントや UV 展開のためにメッシュ化すると、修正が必要になっても戻すことが出来ない。ただし、三つ編みやチェーンのような複雑な形状に関しては、Curve を使わざるを得ない。

▽ Edge Crease を効果的に使用する
曲面を回避したい箇所に、Edge Crease を使用する。

または、メッシュを切り裂きたい箇所に、Edge Crease を使用する。
折り返しがある場合、背面カリングの対策として、裏表の両面にメッシュを貼らなければならないため、メッシュの切り裂き(Edge Crease)を必ず使用することになる。(参考画像では、切り裂いた後に片方のエッジを内側に少しずらしているが、実際は両方のエッジが重なる。)

▽ ハードエッジを回避する
ハードエッジは、ほとんどのシェーダで綺麗にアウトラインが出ないため、ベベル加工する。もしくは、テクスチャにアウトラインを描いてしまう。(参考画像で使用しているシェーダは VRM の MToon である。)

▽ Subsurf モディファイアを適用しない
最後の最後(3D モデルをエキスポートする直前)まで、Subsurf モディファイアを適用しない。途中で適用すると、修正が必要になっても戻すことが出来ない。

ウェイトペイント
▽ ボーンを入れてウェイトペイントする
服や靴には素体のウェイトを転送する。揺れものには自動ウェイトを活用する。サブディビジョンサーフェスモデリングの一番の利点は、扱う頂点が少なくて済むことだと思う。

シェイプキーの作成(左右対称)
▽ 左右対称の表情(A、Blink、Joy など)を全て作成する

ミラーモディファイアの適用
▽ Mirror モディファイアを適用する
シェイプキーを含まないオブジェクトの場合は、通常通り、Mirror モディファイアを適用する。
シェイプキーを含むオブジェクトの場合は、アドオン「SKkeeper」を利用して、Mirror モディファイアを適用する。

シェイプキーの作成(左右非対称)
▽ 左右非対称の表情(Look Left、Blink Left など)を全て作成する

UV 展開
▽ UV アイランドは重ねない
メッシュが左右対称であっても、UV は重ねずに、出来る限り分けたい。例えば、片側にほくろを付けたいとか、靴裏に名前を書きたいというような、クライアントからの追加の要望に応じることができる。
▽ オブジェクトを無理に結合しない
Blender では、オブジェクトを複数選択した状態で UV 展開できる。そのため、複数のオブジェクトのテクスチャを一つにまとめたい場合であっても、オブジェクトを結合する必要はない。オブジェクトの結合は、最後の最後(3D モデルをエキスポートする直前)に行う。
テクスチャペイント
Substance 3D Painter の利用を前提とする。
▽ GLB 形式を利用する。
Substance 3D Painter と Blender の間で 3D モデルを渡す時は、GLB 形式を利用する。FBX 形式を利用しない。
詳細は、「テクスチャペイント(Substance 3D Painter)」という記事を参照してほしい。
▽ Subsurf モディファイアを適用する
GLB 形式で 3D モデルをエクスポートする際に、自動的にモディファイアが適用されないので、手動でモディファイアを適用する。GLB 形式でエクスポートし終えたら、モディファイアを適用する前の状態まで戻す。
エクスポート
▽ オブジェクトを結合する
オブジェクトが多いと、Unity 等で 3D モデルを動かす(描画する)にあたり、処理が重くなる。
(衣装 + 体)*(シェイプキー有り + シェイプキー無し)で4つにまとめると良いのかもしれない。
▽ Subsurf モディファイアを適用する
シェイプキーを含むオブジェクトは、アドオン「SKkeeper」を利用して、Subsurf モディファイアを適用する。
シェイプキーを含まないオブジェクトは、Subsurf モディファイアを適用しない。

補足
▽ アドオン「SKkeeper」について
Blender の標準機能では、シェイプキー(Shape Key)を含むオブジェクトには、モディファイアを適用できない。モディファイアを適用せずに 3D モデルをエクスポートすると、シェイプキーの情報が失われてしまう。そのため、有志がリリースしている「SKkeeper」もしくは「Apply Modifier」というアドオンを利用して、モディファイアを適用する必要がある。
所感
キャラクターモデリングの初学者が、配布されている 3D モデルを参考にしてモデリングをする場合があるかもしれない。しかし、配布されている 3D モデルの多くは、Subsurf モディファイアを適用した後のものである。